2010年2月26日金曜日

Rio Bossa / 小野リサ


João Donato集の名作がある小野リサさんですが、本作はAntonio Adolfoのプロデュース作で中々侮れない作品であります。バックもヴィオランにNelson Faria、コーラスにCarol Saboia(Adolfoさんの娘さんですよね。Nelson FariaとのJobim集も良かったですね)にAdnet一家と豪華であります。選曲もDeodatoの"Baiãozinho"、Adolfoの"Giro"(Elisのバージョンも良いですね)、Donatoの"Dom de Iludir"など鋭いものがあります。Ary Barrosoの"É Luxo Só"やJobimの"Retrato em Branco e Preto"などの定番曲も凡庸には終わらない素晴らしい出来栄えです。

Antonio Adolfoさんと言う人は、ソフト・ロックのBrazucaやConjunto 3D(何とBeth Carvalhoがボーカル)、ジャズ・ボッサのTrio 3Dなど非常に幅広い音楽性を持った尾人であります。最近、ディスク・ユニオンのラテン・フロアのエレピ特集で取り上げられていたソロ・アルバムもムーグを使った若干プログレがかった曲まであり、素晴らしい作品でした。Rhodes弾きとしても有数の腕前ではないかと思います。

小野リサ


そのDonatoの"Dom de Iludir"のGalのバージョンをリンクします。



他にWanda Sá & Celia Vazのバージョンなども良いですが、最近リリースされた西澤沙苗さんのバージョンも非常に良いです。鈴木厚志さんのピアノもいい感じです。

2010年2月25日木曜日

Quem é Quem / João Donato


João Donatoの作品は、ピアノ・トリオもの、歌もの、コラボもの、オーケストラものなどのジャンルがありますが、本作品は歌ものであります。Donatoの歌ものは何枚か持っておりますが、いずれも良い具合に脱力したハイ・クオリティなものであります。本作品は一般にも傑作と呼ばれている作品であります。私的には、Ahiêという曲特にお気に入りです。Deodatoとのコラボ作品に"Where's J.D.?"というタイトルで演奏されているインスト・ヴァージョンも良いんです。ヨレた感じの歌手の宝庫のブラジルでもDonatoの歌は屈指のものであります。さらに、本作ではRhodesの演奏が最高でもあります。音の抜き方と言い、裏拍の効いたフレージングなどさすがなのです。最近リリースされた、ピアノ・トリオものも良さそうです。

Jo?o Donato

2010年2月24日水曜日

The Pound Road / Dessie O'Halloran


アイルランドの西、ゴールウェイの沖の島Inish Bofinのおじさんのアルバムです。Sharon Shannonのレーベルからのリリースであります。レゲエやらカントリーやら何でもゴチャ混ぜにしたSharonのサウンドが結集されたハッピーなアルバムです。Dessieのヴォーカルは、"I'll flay away"(O Brotherですね)の出だしの無伴奏部のグダグダの音程と言いイイ感じにヨレてます。「これでいいのだ」的快作です。

このおじさん、Sharonと一緒に来日したこともありますね。青山Cayでのライブを見たように思います。そのときもバーでかなり飲んで出来上った状態でステージに上がっていたように思います。関係ありませんが、葉加瀬太郎さんもそのライブを見に来ていたように記憶しています。アイルランド人のフィドラーはかなり名手と言われる人でも結構音程が悪い人もいたりしますね。そういう演奏って、クラッシクの人とかが聴くどう感じるのでしょうかね。アイリッシュのように、上手いことはあまり重要でない音楽も良いと思います。以前、ハワイ音楽の重鎮Keola Beamerも、ライブでハワイ音楽は上手いって事は重要じゃないんだよと言ってました。そう言って奥さんにウクレレの弾き語りをさせてたりしてましたね。

Sharon Shannon, Dessie O'Halloran, Damien Dempsey & Mundy


本作や、Sharonの"The Diamond Mountain sessions"に収録のDessieの十八番、"Say you love me"のビデオをリンクしておきます。

2010年2月23日火曜日

Minha Cara / Mart'nália


サンバの巨星Martinho da Vilaのご令嬢なのであります。アルバムタイトルと言い、文句あるか的なジャケットと言い流石な感じがしますが、サウンド的にはラテンジャズ風の1曲目から始まり、トラディショナルなサンバというよりかなりモダンな感じであります。所謂パゴージ風というよりは、かなりお洒落なMPB風という感じでしょうか。とは言えMart'náliaの歌はストレートで堂々としたものです。

Mart'N?lia


お父さんと一緒なビデオをリンクします。Mart'náliaのタンボリンのバチーダと一体の歌が素晴らしいです。

2010年2月22日月曜日

Bim Bom : Complete João Gilberto Songbook / Ithamara Koorax & Juarez Moreira


João Gilbertoが作詞/作曲作品を集めた作品集。歌は、Ithamara Kooraxさんという人で、かなり前にPedro Amorimと一緒に来日したことがあったと思います。少し堅い歌い方の人で、あまり好みではない気がしていたのですがこのアルバルは比較的柔らかな感じがします。伴奏はミナスのギタリストJuarez Moreiraさん。エレキを交えたミナス風味も少々あるとても良い感じです。Juarezさんの作品には他にも素晴らしいものがあるので、そのうちポストしたいと思います。

"Minha Saudade"がDonatoとの共作だなんて知りませんでした。Joãoの曲はリズミカルなものからメロディックなものまで良い曲が沢山ありますね。Bebelのヴァルサなんて可愛い曲もあったりします。

Ithamara Koorax & Juarez Moreira - Bim Bom - the Complete Jo?o Gilberto Songbook


で、オマケはAstrudのBim Bomです。さすがに良いです。

2010年2月19日金曜日

Getz Gilberto / Stan Getz, João Gilberto & Antônio Carlos Jobim


云わずとしれた超有名盤ですが、実は最近になって良さが分かった気がします。Milton BananaのドラムにJobimのピアノという取り合わせは妙な感じだったりもしますが、要はこのアルバムはJoão+Jobimということですよね。それに、このアルバムの価値はAstrudを発掘したということにありますね。

Astrudの天然の稚さは唯一無二のものであり、私にとって最も重要なアイドルの一人であります。"Getz/Gilberto"ではAstrudのパートが少ないですが、同じStan Getzの"Getz Au Go Go"は沢山歌っていて嬉しいですアルバムです。"It might as well be spring"など素晴らしいテイクが満載です。

Astrud Gilberto, Jo?o Gilberto & Stan Getz - Getz / Gilberto


Astrud Gilberto & The Stan Getz Quartet - Getz Au Go Go


2010年2月18日木曜日

Bossamysoul / Peter Getz


2008年作、スウェーデン人のAOR作品。お気楽なMichael Franksという風情の音楽である。Asylum Street SpankersのWamoばりの太目の風体やトロピカルな服装も音にマッチしているし、それが北欧の人というミスマッチも中々イカしている。バンドのRhodesの中々、ジャズも盛んな国なので演奏レベルも高いです。

Peter Getz

2010年2月17日水曜日

Batuque na Palhinha / Dilermando Pinheiro


実に粋なサンバ(シンコパードというジャンルらしい)であります。Cyro Monteiroと共にこのジャンルでは有名な人らしいです。Cyro MonteiroとElizetchのデュエットの名作Bossa Eternaと同様にオルガンが入ったバンドですが、本作は、さらにクラリネットをはじめとする管楽器が美麗であります。Dilemandoさんの歌は、Cyro Monteiroよりも優男風のより粋な感じであります。CDではカホンのように聞こえるパーカッションの歌は帽子を叩いている音なのであります。

TelecotecoというCyro Monteiroとの伝説のショウがあるそうです。こちらはCD化はされていないようです。JacobやDinoが伴奏しているというくらい伝説なのであります。帽子とマッチ箱(Caixa de Fósforo)の対決というのも伝説的な感じですよね。




2010年2月11日木曜日

Geraldo Pereira / Bebel Gilberto & Pedrinho Rodorigues


ボッサの帝王João GilbertoとMiuchaの娘という超サラブレッドで今やエレクトリック.ボッサの女王とも呼ばれるBebelが十台の頃に録音した貴重な音源であります。父JoãoがアイドルにしていたGeraldo Pereiraの作品を歌うという構図ににも何か良いものを感じますが、何よりもBebelの歌のカワイさはあります。

また、さらに、これが超々最高のジャズ・サンバなのであります。私、恥ずかしながらブラジルのジャズが分かるようになったのはごく最近なのです。以前は、こういうサンバは全く守備範囲外だったのですが、今や大好物になってしまいました。やっぱりCD棚の肥やしは必要なのだと納得する今日この頃であります。ピアノは幻のピアノ・トリオTempo TrioのHelvius Vilelaという人です。しかも、私的に最も位の高い楽器であるFender Rhodesばかり弾いているのも最高です。

Bebel Gilberto


それでは、BebelのSo Niceです。このテイクもエレピとピアノの重ね方など奇跡的な曲であります。このBebelのデビュー・アルバムには、プロデューサの悲運があったという話をBarquinhoの東野さんから聞いたことがあります。So Nice(Samba de Verão)の作者、Marcos ValleもRhodesの名手であります。



BebelとJoãoの音源もありました。YouTube恐るべし。



近年、最も良く耳にするRhodesと言えばこれですけどね。

2010年2月10日水曜日

Meu amigo Geraldo Pereira / Nadinho da Ilha


NadinhoのCD、João GilbertoのアイドルでもあるGeraldo Pereiraの作品集であります。Nadinhoの作品としてはOdeonから出ているインパクトのあるジャケットのものなどの方が良いとは思いますが、このCDもNadinhoの野太い声とEnrique & Beto Cazesらのショーロっぽいお洒落なバンドのミスマッチが中々面白い感じがしないでもありません。Cristina Buarqueがコロに入っているので得点アップであります。曲は文句なしに良いですね。

Nadinho Da Ilha


Roberto RibeiroとのPVがYouTubeにありました。必要以上に男っぽい感じではありますが、良いのではないでしょうか。しかし、このバンド、管楽器の感じと言い、抜群ですね。

2010年2月8日月曜日

Natural do Rio de Janeiro / Zé Renato


Zé RenatoによるZé Ketti作品集です。確かRenatoさんはカリオカでなくてミネイロだったと思いますし、中性的でオサレな歌唱なので、山の手(Morro)のサンバという感じではありませんが、美しい作品であります。子供ForróのCDとか中々素晴らしい企画センスもある方でもあります。
このCD、特に良いのがマルシャ風アレンジのMáscara Negraであります。
Ze Renato

で、YouTubeにVania Abreuのバージョンがありました。Daniela Mercuryの妹ですね。芸風は全然違いますが、良い演奏ですね。


同じくVania Abreuの別バージョンもありました。


ところで、昨日は、江藤有希さん(violin)、早川純さん(bandoneon)、中西文彦さん(Violão、Gitarra)のライブに行ってきました。最近出たEPOさんのCDが素晴らしい作品で、笹子さん色全開だったりするのですが、江藤さんが沢山弾いているのでHPを見たらライブのスケジュールを見つけたので行ってみることにした訳です。江藤さんと早川さんにお会いするのはかなり久しぶりでした。また、このユニットを聴いたのは、初めてですが、CDを出さないのが勿体ないワン・アンド・オンリーな音楽でした。相変わらず中西さんのエレキが良い感じに決まってました。昨日は、Xangôsの時のワウベダルではなく、T Bone Burnetばりのリヴァーブでカッコ良かったです。音源はココにあります。

2010年2月6日土曜日

A Voz do Samba / Monarco


再びMonarcoです。田中勝則さんのプロデュース作品であります。写真はKuarp盤のジャケットです。日本盤も昔のイラストのものと、下の写真のものがあるようです。当時の新作と思われる曲が中心の渋い作品でした。
Monarco


下は、私のアイドル、Cristina Buarqueが歌うMonarco作品の動画です。この曲、Cristinaの若い頃の傑作LPにも収録されている名曲です。

2010年2月5日金曜日

75 Anos de Samba / Zé Ketti


ポルテーラの重鎮Zé Kettiの晩年の作品で、往年の名曲のセルフカバー集であります。最高のサンバ作品のひとつでしょう。Zéの枯れた中にも粋を感じるボーカルも最高であります。Monarco, Zeca, Wilson Morreiraなどのゲストの手堅い歌も良いし、ラストは、私のアイドル、Cristina Buarqueが歌うメドレーなのも感動的だったりします。

このアルバムには収録されていませんが、Elton Medeirosとの共作の有名曲の映像をリンクします。これも滋味あふれる素晴らしい映像であります。



こちらも本アルバムに収録されていませんが、Nara Leãoの歌唱などで有名な名曲であり、私の最も好きな曲のひとつでもある"Diz que fui por aí"をPato FuのFernanda Takaiさんが歌う映像もリンクします。大洋レコードから発売されているFernandaのNara Leãoレパートリー集にも抄録されております。

2010年2月3日水曜日

Malandros Maneiros / Zé Luiz do Império Serrano


リオの老舗サンバ学校Serranoの重鎮の作品であります。サンバの中のサンバという感じの正統派のサンバです。このアルバムは、itunesストアにはありませんでしたが、Zé Luizが参加しているコンピがありました。Samba do trabalhador(労働者のサンバ)という如何にもなタイトル通りのRoda de Sambaスタイルの中々元気のな感じのアルバムなのでリンクしておきます。
Z? Luiz - Renascen?a Clube: Samba do Trabalhador
YouTubeにあった画像もリンクします。曲はTodo menino é um rei(子供はみんな王様)です。Roberto Ribeiroのバージョンとかもありますね。Roberto Ribeiroもたしかセハニスタだったと思うので、Serrano所縁の曲なのかも。やっぱり本場のボーダはコロが充実していていいっすね。

Serranoと言えば、最近、Dona Yvonne LaraのライブDVDを買いましたが、これが実に良いものでした。"Alvorada"や"Nasci pra cantar e sonhar"など極上の美曲多数なのであります。

2010年2月2日火曜日

So April Hearted / Michela Lombardi


イタリアの女子ボーカリストの割と最近の作品です。昨日は雪が降ったり、今日も引き続き寒かったりするので春っぽい作品を載せたいと思います。去年のことですがイタリア・ジャズにハマりましたが、その一環で発見したアーティストです。このCDではないですが、ジャズの最近の作品でよく取り上げられるEmilyが決定的でありました。とても素直で癖のない歌いぶりが私の好みです。伸びやかな感じも良いです。バンドのセンスも抜群であります。特にクラリネットの美しさは特筆ものです。

itunes storeに楽曲が見つからなかったので、試聴はこちらのアーティスト・ページからどうぞ。
http://www.michelalombardi.it/dblog/musica.asp



YouTubeにも動画がありますが、私的にはCDの方が良い感じがします。