2011年11月30日水曜日

Heaven and Hell / Vangelis


Vangelisのソロ2作目、Vangelis名義では1作目となるアルバムだと思います。その後、"Chariots of fire"で大ブレークする直前のアルバムです。その後の世間受けする音楽と以前のAphrodite's Child時代や、前作Papathanassiou名義の"Earth"のようなダークな音楽がミックスされた佳作です。プログレらしい15分を超える表題曲のパート1&2が圧巻です。特にパート2は、前作までのエーゲ海的なエスニックな雰囲気が良い感じであります。中盤に出てくる女性ボーカルも素晴らしいです。YesのJon Andersonが参加しているの間奏曲的なM2も売りであります。Yesの分裂と、その後のAndersonの活動の契機とも言える作品です。

Vangelis


2011年11月28日月曜日

Charles & Joe / Gianluca Renzi


前出のStefania Tallini Quartetにも参加しているイタリア人ベーシストのリーダー作。Fabrizio Bossoをはじめとする7管テンテット編成で、Joe Hendersonを3曲、Charles Mingusが4曲というアルバム。全曲高水準な演奏ですが、バス・クラリネットとフルート2本が入ったM4のスロー曲、"Duke Ellington's Sound of Love"は、イタリアらしい美しいアンサンブルが聴けるお気に入りのテイクです。

Gianluca Renzi


Mingusのオーケストラの演奏。'79年の"Changes One"に収録のバージョンと思われます。

2011年11月27日日曜日

Maresìa / Stefania Tallini


イタリア人女性ピアニスト/作曲家によるカルテット編成のアルバム。リードはEGEAレーベルなどで活躍するイタリア人クラリネット奏者のGabriele Mirabassi。ショーロ・アルバムやショーロ・カバーを含むアルバムをリリースしていたり、GuingaやAndré Mehmariなどブラジル人ミュージシャンと活動してたりする人です。そんな影響もあってか、Egberto Gismonti的コンテンポラリーな傑作です。もちろんイタリア的、エーゲ海的な要素もありますが、ブラジル音楽ファンにも是非聴いて欲しいアルバムです。Mirabassiとのインプロ曲3曲以外は、全曲オリジナルです。

Stefania Tallini

M2の"Choro para dois"。クオリティ高いです。


Guingaの"Choro pro Zé"のカバーのビデオです。ヴィオランはGuingaでは無さそうです。


ピアノ・ソロ・アルバムからのオリジナル曲。これもかなり良いです。

2011年11月22日火曜日

Caminos / Carlos Aguirre


Carlos Aguirreのピアノ・ソロ・アルバム。Carlos Aguirre Grupoのアルバム中にも、彼の地の水を湛えた様な美しいピアノ・ソロ曲が収録されていますが、本作はピアノ・ソロのみが収録されたライブ・アルバムです。Grupoの幅広い音楽性がピアノだけでも堪能できます。AguirreのShagrada MedraレーベルのアルバムはAmazonのカタログにはあまり入っていないですが、大洋レコード、ディスクユニオン、HMVなどで購入できます。

Carlos Aguirre


ファースト、"Crema"に収録されているピアノ・ソロ。同音の使い方が美しい名曲だと思います。Shagrada Medraレーベルからリリースされている、Javier Albínというピアニストの"Las Mañanas El Sol Nuestra Casa"というアルバムでもカバーされています。そちらも素晴らしいアルバムです。



本作中の1曲もリンクしておきます。

2011年11月20日日曜日

Piano Portraits / Phineas Newborn Jr.


東芝999円シリーズの第4弾の中の一作。このシリーズ、1枚あたりの価格は安くて良いのですが、大量にリリースされるし、初CD化や、意外な企画盤、気になるアーティストが参加した作品などがあったりして散財の元になっております。本作は、私の好きなピアニスト、Phineas Newbornの初期、ルーレット・レーベルの作品、帯にある「傑作」という程ではありませんが、傑作"A world of piano"に至るステップとして、中々の出来のアルバムであります。ちなみに、この第4弾の中では、フィリピン系アメリカ人のVi Velascoの"Singing the bossa nova"がお勧めです。サックスにアンサンブルに定評のあるZoot Simsが入っているためか、非常に良く出来た、お洒落なジャズ・ボッサ・アルバムです。アイデア、選曲も良く、M1のGershwinの"I got rhythm"のカバーから最高であります。

Phineas Newborn Jr.

2011年11月17日木曜日

Tema 3D / Trio 3D


ショーロから、MPB、ソフト・ロックまで、幅広い音楽性を持つAntonio Adolfoですが、本作はピアノ・トリオの編成のジャズ・ロックのアルバムです。ピアノ・トリオのジャズ・ボッサと言うとブラジル人ならでは切れのあるドラムスを中心とした爽快なスピート感を期待する向きもありますが、本アルバムは、Antonio Adolfoの音楽性が活きたスタイリッシュな作品です。

Antonio Adolfo


前のポストに引き続き、Antonio Adolfoの名曲"Pretty World"、ポルトガル語詩タイトルの"Sá Marina"のIveteのカバー。スペイン語アルバムに収録されているものと同じテイクと思われます。



デビュー当初から一緒に活動している娘さんCarol Saboyaのヴォーカルです。最近リリースされたライブ・アルバムのテイクらしいです。


Elis Reginaによるカバー。CD化はされていない音源だと思います。

2011年11月15日火曜日

Dance Moderno / Sergio Mendes


Sergio Mendesと言うと、A&Mレーベル時代のBrasil '66などボーカルが入ったスタイルの知名度が高いですが、それ以前のアトランティックなどのインスト作品にも中々良いものがあります。特に私が傑作と思っているのは、Hubert Lawsのフルートが良い"The swinger from rio"でありますが、本アルバムはそれ以前、'61のデビュー作のようです。内容はというとその後の"The swinger from rio"などのBrasil '65以前の作品に比べると、管はトロンボーン少し入る程度のピアノ寄りのアルバムです。ラテン・パーカッションが入ったラテン・フレーバーのジャズ・ボッサと言った感じです。
コアなブラジル音楽ファンには毛嫌いされるように思われますが、この時代のSergio Mendes絡みのジャズ・ミュージシャンによるボッサ・ノヴァもの、実は中々良いものがあったりします。バルキーニョの東野さんに教えて頂いたものではありますが、Herbie Mannの"Do the Bossa Nova"は、コアな内容で最高です。Cannonball Adderleyのアルバムも悪くありません。

Sergio Mendes

Brasil '66の成熟期のアルバム"Crystal illusions"収録の一曲、Antonio Adolfoのラブリーな名曲であります。比較的最近の小野リサさんの同名タイトルのアルバム秀逸です。そちらは、Deodatoのプロデュースであります。


こんなお仕事もしていたようです。

2011年11月14日月曜日

Idéias / Eumir Deodato


Deodatoのソロ名義の2作目。Deodatoのアルバムと言うと、オーケストレーションをフィーチャーした大作系、メロー系と、ファンキーなボッサ系とがありますが、私は断然後者の方が好みでありますが、本作はその系列の中でも傑作の一枚であります。1作目の"Inútil Paisagem"がJobim集で、比較的まったりしているのに対して、本作はDeodatoのファンキーな特長が遺憾なく発揮された名盤であります。ピアノとハモンド・オルガンがバランス良く収録されているのも良い。ホーン・セクションのメローさは、Herb Alpert & The Tijuana Brassと双璧と言った感じでしょうか?本作、Deodatoのハモンドが炸裂するDeodatoのMarcos Valle集、ブラス・アレンジが最高のMarcos Valleのインスト"Brasiliance!"の3枚は世界遺産級であります。

Eumir Deodato


本作M1の自作曲。これぞアレンジの妙と言った感じです。

2011年11月13日日曜日

Trilhas Brasileiras / Alberto Rosenblit


ブラジル人ピアニストのソロ・アルバム。Mario Adnetの諸作などに通じるブラジル・インストアルバムとしてかなりハイ・レベルのアルバムです。Mario Adnetと違うのは、全曲自作曲ということと、ストリングスを使っているところです。ボッサ、ショーロなど、ブラジルっぽい動きのある曲はかなり良い感じです。バラードっぽい曲は少しやり過ぎの感じもあったりします。トロンボーンにVittor Santos、フルートにAndréa Ernest Dias、ヴィオランにPaulo Jobimなど有名どころが多数参加しております。

Alberto Rosenblit


本作の1曲目は、Vittor Santosのトロンボーンをフィーチャーしたテイクですが、下のビデオはLeila Pinheiroのボーカルをフィーチャーしたもの。同名タイトルのDVD付きアルバムのメイキングです。

2011年11月12日土曜日

Boleros / Tete Montoliu




スペイン人の大御所ジャズ・ピアニストの異色作で、ラテンのボレロ集であります。ピアノ・トリオにパーカッション(コンガ、ボンゴ)を加えたカルテット編成なのが功奏して、ラテン的な良い雰囲気を持ったアルバムになっています。超長い三連符のパッセージを使ったりお洒落なアクセントもあったりして、安易なラテン名曲カバー集とは全く違った次元のアルバムになっております。1977年の録音で、今程ワールドミュージックに関心が無かった時代に作られたという先進性も注目に値します。

Tete Montoliu


大分、歳をとった感じの映像ですが、スタイリッシュで雰囲気のある映像です。

2011年11月10日木曜日

The Chopsticks Variations / Margo Guryan


おそらく、"Take a picture"という一部で非常に人気のあるポップス・アルバムのウィスパー・ヴォイスのSSWと同一人物だと思われます。元々クラッシックのバックグラウンドのある人で、シンガーを引退後にクラッシックを勉強し直したりしたそうです。子供向けの練習曲のようでもあり、ニューエイジ的でもある可愛らしさのあるオリジナルのピアノ変奏曲集です。シンガー時代の作品も多くカバーされているように作品のクオリティーが高いのですが、本作の楽曲もウィットに富んだ楽しいものばかりです。

Margo Guryan








やはり"Take a picture"はエバー・グリーンな名盤であります。

2011年11月9日水曜日

8 Concert Etudes / Nikolai Kapustin


ロシアのピアニスト、作曲者の自作自演アルバム。クラッシックの人のようですが、フォークロアな雰囲気が強いように思います。現代音楽的であったり、一瞬ジャズになったりと中々面白い音楽です。

Nicolai Kapustin


2011年11月4日金曜日

Conquista Musical / Sonora Ponceña


プエルトリコの老舗オルケスタ、Sonora PonceñaのFaniaレーベル時代のアルバム。本アルバムのカンタンテはIsmael QuintanaのみでYolanda Rivera登場しておりません。Ismaelというと、Ismael Rivera、Ismael Mirandaとサルサ界の名歌手が居並ぶ中に、Ismael Quintanaもプエルトリコ人ならではの伸びやかな素晴らしい歌を聴かせてくれます。楽曲もM1をはじめとして超キャッチーな曲の連続であります。Sonora Ponceñaの中で、私的にはYolanda Riveraのボレロが素晴らしい"Determination"が一番のお気に入りではありますが、本アルバムも名盤として有名な"Explorando"に匹敵する作品ではないかと思います。

Sonora Ponceña


M1収録のÑañara Cai。カンタンテはLuigui Texidor。



Fania All StarsでのIsmael Quintana。ピアノはLarry Harlow。



Yolanda Riveraのビデオはあまり良いものが見つかりませんでしたが、一応載せておきます。

2011年11月2日水曜日

Tribute to Bud Powell / Cinzia Gizzi Trio


イタリアの女流ピアニストによるピアノ・トリオ・アルバム。テーマはBud Powellのトリビュートですが、Rita Marcotulliなどと共通するイタリア・ジャズならではのクラシカルな美しさがあるアルバムだと思います。

Cinzia Gizzi

Cinzia Gizziの良い映像が見つからなかったので、Rita Marcotulliの映像を掲載します。