2011年1月30日日曜日

Kitty Hayes Remembered / Kitty Hayes


Kittyが亡くなる一年程前、エニスのコンサートホールGlórなどでのライブ音源を収録した作品。Martin Hayes & Dennis Cahillの他、ブズーキのEoin O'NeillやコンサティーナのDympna O'Sullivanさん、アコーディオンのJosephine Marshさんなどのサポートを得て、溌剌とした演奏が収められています。

下のビデオは、2002年、丁度私がWillie Clancy Summer Scoolに参加した年の映像です。Willie Clancyでは毎晩楽器毎のリサイタルが開催されるのですが、Kittyさんもコンサティーナ・リサイタルに出演していました。お洒落な青いスーツで決めていらっしゃいました。下のビデオも他のメンバーがヨレた服装なのに一人だけオシャレです。


2011年1月29日土曜日

They'll be good yet / Kitty Hayes & Peter Laban


Kittyは、21世紀になってから"A Touch of Clare"という台所録音の傑作CDで突然現れたお婆さんコンサティーナ奏者です。長い間弾いていなかったコンサティーナを晩年になってから息子さんが亡くなったのを契機に演奏を再開し、多くの若い多くのミュージシャンらにサポートされ3枚のアルバムを遺しました。本アルバムは、Kittyのサポーターの一人のパイパーとのコラボレーション作品です。"A Touch of Clare"の煌くような素晴らしさは無いですが、本作の暖かい雰囲気に溢れたアルバムです。

この二人のセッションのビデオはYouTubeに沢山アップされていました。Kittyさんの可愛らしさと、Peterの優しい雰囲気が伝わるビデオです。


2011年1月26日水曜日

Keepers of Tradition / Various


クレアのコンサティーナ音楽のフィールド・レコーディング集。28人のコンサティーナ奏者の演奏が収録されています。Mrs. Crottyなどの伝説的な人から、初めて聴く人まで、恐らく古い世代の人の演奏のみのようです。コンサティーナ奏者としては比較的有名なChris Droneyさんや、守安さんの書籍に登場するGerdie CommaneさんやTommy McMahonさん、Jacqueline McCarthyのお父さんのTommy McCarthy、21世紀に入ってから活躍したおばあさんコンサティーナ奏者Kitty Hayesなどは他の音源でも聴くことが出来ますが、殆どはこのアルバムで初めて聴く人たちです。素朴さの極致と言った感じ、居間や台所の暖炉の温もりが感じられる音楽です。

守安さんの著書にも出てくるGerdie Commaneさんと、守安さん夫妻との演奏。これもCustysのサイトにあったビデオです。音楽もそうですが、子供が後ろで遊んでいたりしてなんともホノボノとしたビデオです。演奏が終わるとさっさと椅子を片付けてしまったりして、Gerdieさんの奥さんが良い味を出してます。残念ながら亡くなられたと、守安さんのライブで聞きました。ご冥福をお祈りします。

2011年1月22日土曜日

Dancing On Silver / Tim Collins


なんと以前に日本でコンサティーナのワークショップがありました。大崎で開催されたEnnis Festivalという催しで、2日間開催されました。その時のワークショップの先生がTimさんでした。とても気さくで熱心な方でした。短い時間に沢山のことを教えていただきました。トリプレット(同音三連)を出すためのスラップショットと言う技も教えていただきました。ひとつずつの音をクリアに出すというのは中々出来ませんが。本アルバムは、抜群の切れの良さと、どこか素朴な感じがする素敵なアルバムです。



テレビ番組の映像。本当に切れが良くて端正な演奏です。



Timさんが所属するKilfenora Ceili Bandの映像です。Sharon Shannonも参加。丈の短いスカートでがんばってます。ダンサーも出て豪華ですが、バンドのグルーブ感は最高です。

2011年1月19日水曜日

The Wind Among The Reeds / Jacqueline McCarthy & Tommy Keane


Jackie McCarthyとご主人のイーリアン・パイプス奏者Tommy Keane、それからブズーキ奏者のAlec Finnのアルバムです。JackieはWillie Clancy Summer Schoolでの私の師匠であります。早いもので、サマースクールに行ってから8年も経ってしまいました。Jackieはノートを使わない人で、Jackieのクラスは"Learn by ear"方式で、Jackieが少し弾いてから、同じ部分を生徒が一人一人順に弾いて覚えて行く方式でした。生徒は、子供からおばあちゃんまで年齢層も幅広く、スウェーデン人のお姉さんがいたりして国際色も豊かで楽しいものでした。ブレークの時間もやたらと長くゆったりとしたものでした。Jackieのコンサティーナは、2列24キーでC#が2つあるWheatstone製の素晴らしい音色で、演奏は独特の揺らぎのある譜面では表現不可能な魔法のような演奏です。草原の遠く、モハーの断崖越しに大西洋が見える景色が浮かぶような空気感も良いです。

iTunes Storeには本作の他、Jackieのソロや、Jackieの兄弟とのファミリー・バンド、Jackieの父Tommy McCarthyのアルバムが登録されています。Jackieの父Tommy McCarthyは、コンサティーナ、パイプスなどの伝説的マルチ・インストゥルメンタル奏者でです。中でも、Jackieのソロは★5個の傑作です。

Jacqueline McCarthy The McCarthys Tommy McCarthy

RTE(アイルランド国営放送)の映像、比較的最近のものようです。



映像の途中で、Willie Clancy Summer Schoolの話題も出てきます。

2011年1月18日火曜日

Happy To Meet - Sorry To Part / Horslips


ジャケットの八角形のコンサティーナがイングリッシュ。ですが、Wikipediaによるとアイルランドのバンドらしいです。少しサイケっぽい雰囲気もありますが、この手のトラッド指向のバンドにありがちな必要以上に生真面目な感じが無くて割とマイルドで聴き易いです。YouTubeを見るともっとロックなバンドようです。このアルバムはかなりトラッド寄りで悪くないと思います。変形紙ジャケットにも惹かれますし。

Horslips

2011年1月16日日曜日

Traditional Music from East Clare / Mary MacNamara


コンサティーナは、アイルランドの西、モハーの断崖があるクレア県で盛んに使われる楽器です。コンサティーナには八角形のイングリッシュと六角形のアングロがありますが、アイリッシュで使われるのはアングロです。通常は30キーのC/Gという、一列目にGのスケール、二列目にCのスケールがあるものがスタンダードです。

クレアの音楽やこのCDは、以前にも書いた守安功さんの書籍で知ったものです。その本に紹介されている音源のなかで決定的に感化されたものの一枚がこのアルバムです。守安さんも言及されていますが、スペクタクルも全く無い極めて地味で素朴な音楽であります。そんな優しい音楽を代表する音楽です。普通より低めのキーが使われたり、ゆったりとしたテンポでの演奏が心に沁みます。故PJ Hayesと現代のフィドル奏者のヴァーチューゾMarin Hayesの伴奏も渋く味わい深く同様に優しいです。アイルランド音楽、というより音楽の本質を教えてくれるアルバムです。

Martin Hayesとの演奏。RTE(アイルランド国営放送)のドキュメンタリー"Come west along the road"に収録されているシーンです。Martin Hayesの今の髪型ってパーマなんでしょうか?葉加瀬太郎もパーマみたいですが、





Custysのホームページに掲載されている画像です。ビート感も素晴らしいのです。ストンプ音も音楽の一部です。

2011年1月14日金曜日

Now the day is over / The Innocence Mission


バンド名どおりイノセントな感じのする女子ボーカルをフィーチャーしたユニットのアルバム。スタンダードやトラディショナル、クラシックなどを中心としたララバイ集。ボーカルもアンビエントな演奏もテーマにとてもフィットしています。選曲が王道すぎて際どい感じもしますが、難なく成立しているのもバンドの力量でしょうか。このアルバム、タイプは違いますが、私的には、I Am Robot And Proudと同じ位置づけに思っています。

The Innocence Mission


このアルバムとは少しイメージが若干違いますが、比較的近い感じのビデオを乗せておきます。もっと古いビデオはかなりUKとかのロックな感じです。

2011年1月12日水曜日

Cutie Bunny / 北出菜奈


ゴスロリって言うんでしょうか?プリプリ(プリンセス・プリンセス)のトリビュート・アルバムに収録している曲が良かったので買ってみました。悪くないですが少し演技過剰な感じでしょうか。

そう言えば80年代のStrawberry Switchbladeって今聴くとかなり良いです。チープ・テクノ感とか今時のエレポップを25年も先取りしているなんて凄いです。




2011年1月10日月曜日

Sings For Playboys / Beverly Kenney


Beverlyは私の好きなボーカリストの一人であります。無垢なボーカルで日本では根強い人気がありますが、本国、米国では忘れられた存在のようです。そう言った意味ではAstrud Gilbertoに附合するところもあります。ジャズにこだわった人だったようですが、その生涯は悲運なもの様ですが、そうして美しいうちに亡くなりこともファンに強く支持される要因であるようにも思われます。この歌唱法であればボッサやポップスでも良い作品が作れたように思うと残念でもあります。ボッサであればAstrud、ポップスであればジャズ・シンガーであったRobin Wardのイメージです。

Wikipediaによると本作は4作目のアルバムだそうです。次作"Born to be blue"が代表作と言われている様ですが、そちらはゴージャスなオーケストラをバックにしているのに対して本作はスモール・コンボをバックにして親しみやすい音になっていると思います。Beverlyの可憐さが引立つサウンドと思います。"Mama, Do I Gotta?"とか歌っても違和感が無く可愛く聴こえるのが他の歌手には無いところであります。

ここ数年、日本では未発表音源が数枚シリースされていますが、いずれも素晴らしい内容です。"Snuggled On Your Shoulder"はスモール・コンボによる作品で、"tea for two"、"The surrey with th fringe on top"といったハマリ過ぎるくらいの選曲が素晴らしいですし、"Lonely And Blue"はオーケストラによる作品で、1曲目の"Lonely and blue"から朗らかで最高に軽快な演奏が楽しめます。"Snuggled On Your Shoulder"の5曲目、歌い上げる部分を歌い直すのところが良いです。そう言う芸風ではないので上手く歌えなくて良いのです。

Beverly Kenney



ロックが嫌いで迎合することがなかった彼女の少しキレたような歌いぶりが楽しいです。Carlos Lyraの"Influencia do jazz"的な意味で気持ちの良い曲です。

2011年1月7日金曜日

Lookaftering / Vashti Bunyan


1970年にリリースされたファースト・アルバムから35年の時を経てリリースされたセカンドアルバム。ファースト・アルバム"Just Another Diamond Day"は、その後、幻の名盤と呼ばれるようになりましたが、発売当時は全く売れなかったそうです。CD時代に再発された音源が多くのミュージシャンに影響を与え、請われて製作されたのがこのセカンド・アルバムです。消え入りそうなウィスパー・ボイスと美しいアコースティックなサウンドは、幻の名盤と呼ばれるファーストと同様です。オーボエやフルートなどの木管のアンサンブルも美しいです。ほんの少しだけ使われているエレピ、エレキ・ギター、エフェクトのセンスも中々です。M1、M4など、ファースト収録曲を凌ぐ美メロ曲が収録され、それ以上の傑作と思います。

1960年代のシングルやデモを集めた初期音源2枚組CD化も素晴らしいです。ミニ・スカートのルックスもカワイイですし。

Vashti Bunyan


本アルバムM1の弾き語りの画像。エジンバラの自宅での画像らしいです。感動的です。良い曲です。



18才の時に作った曲を40数年後に歌う画像。初期音源集のDisc 1に収録されている曲です。



Vashtiのファースト・シングルの画像。貴重です。初期音源集の1曲目に収録されている曲です。



Vashtiの初期作品"Train song"を最近の若者がカバーしたものです。Feistというこの人も中々良いものを持っています。



またそのカバーがYouTubeに山のようにありました。




2011年1月6日木曜日

Multiplication / Eric Gale


スーパー・フュージョン・バンドStuffのギタリストとして有名なEric Galeのソロ・アルバム。太めの弦に重めのピックで弾いている感じの独特のゴリゴリしたサウンドは、ブルース業界ではありそうな感じでもありますが、やはり独特のもののように思います。時々聴きたくなる常習性のある音であります。

Eric Gale


本アルバムのタイトル曲、アルバムから4年後くらいのMontreux Jazz Fesでの映像です。Stuffの華やかなメンバーとは違った地味な感じも良いです。

2011年1月5日水曜日

Jump! / Van Dyke Parks


アメリカ・ルーツ音楽職人の1986年発表の4thアルバム。昨今のコンピュータ依存症の音楽と対極を成す音楽であります。Mike Oldfieldでさえ'80年代にはシンセを使う様になってしまっているので、その頑なさは貴重と思えます。特にキャッチーなメロディがあるわけでは無いけれど、装飾過多とも言えるロマン主義的音楽は唯一無二であります。

Van Dyke Parks


もはや故Lowell Georgeの娘という形容も不要な程に充実した音楽活動を展開するInara Georgeのライブ。ピアノがVan Dyke Parksのようです。InaraはVan Dyke Parksプロデュース作もリリースしていますが、Music Magazineの2010ベストでも好評であったThe Living Sistersでの作風などもVan Dyke Parksの薫陶の賜物のように思えたりします。



Inara George

2011年1月4日火曜日

ウサギのこころ / ウイリアム


帯の推薦文にある「のび太ロック」と書かれえていますが、そこはかとなく情けないスピッツというかフィッシュマンズと言った感じがしますが、泣きの入った良い曲ばかりで完成度の高いアルバムです。本アルバム当時4人編成のバンドでしたが、今は柳沢耕平さんという人一人でピアノ弾き語りなどで活動しているようです。



"映画"という曲の映像です。

2011年1月3日月曜日

Collates / Johnny Hodges


Ellington楽団の名アルト・サックス奏者のリーダー作。おそらく10インチ時代の録音らしく古色蒼然とした音ではありますが、Coltraneが憧れたと言われる艶やかな音色は堪能できます。リラックスした軽快で粋な演奏が満載です。Ellingtonとの"Side by side"の名盤ですが本作もそれに匹敵する傑作です。"Birds & Dizz"などもそうですが、この時代のイラストのアートワークは秀逸なものがあります。

Johnny Hodges